第37回樟蔭ファッションセミナー~化粧ファッション学科~
みなさん、こんにちは。
化粧ファッション学科の教員、真殿由加里です。
化粧ファッション学科では、1月15日(土)に本学翔空館10階S1001教室にて、
第37回樟蔭ファッションセミナーを開催いたしました!
樟蔭ファッションセミナーとは、化粧ファッション学科が毎年行っているセミナーで、化粧ファッションの最前線でご活躍されている方をお招きし、ビビットな話題をご提供しています。
第37回樟蔭ファッションセミナーは、
「子ども・ウイッグ・未来:ヘアドネーションという活動」
と題して、NPO法人JHD&C(ジャーダック)代表の渡辺貴一様にヘアドネーションやウイッグ提供といった一連の活動の紹介や、その社会背景や活動の見つめる先についてご講演いただきました。
今回のブログでは、第37回樟蔭ファッションセミナーの様子をお届けします♪
渡辺様は、セミナー冒頭で、まず自己紹介とともに自身のご経験からヘアドネーションの活動をしようと思ったきっかけをお話しくださいました。
24歳でアメリカのニューヨークに行き、1年ほどカラーリストとして美容室に勤めていたときに、「ニューヨークには呼吸のようにチャリティーがある」ということにカルチャーショックを受けられたそうです。
その後、日本で美容師を続け、独立しようと考えたときに、「髪の毛に恩返しができるようなことはできないか?」「美容師だから美容師らしいことがしたい!」と思われたそうです。
その当時、アメリカではヘアドネーションの活動が行われており、「アメリカでやっているヘアドネーションをやってみよう!」とはじめられたそうです。
次に、渡辺様は、ジャーダックで行っているヘアドネ―ションの活動について、お話しくださいました。
ジャーダック事務局には、年間約10万件のヘアドネーションが届き、その届いた髪の毛がウイッグとして完成するまでに3年ほどかかるそうです。
その1つのウイッグに使用されるヘアドネーションは、約50人分、長さによっては約100人分だとか。
(その他、寄付された髪の毛がウイッグになるまでの行程などもお話しくださいました。
詳細についてはジャーダックのHPに掲載されているとのことですので、是非チェックしてみてくださいね。)
また、コロナ禍で一時期ウイッグが提供できなくなり、その当時の苦労についても、お話しされました。
コロナ禍を機にフルオーダー制からセミオーダー制に変更することで、コロナ禍前のようにウイッグを提供できるようになったとか。
そして、渡辺様は
「ヘアドネーションの活動は良いことなのか?」
と、突然と大きな問いを投げかけられました。
「誰かの役に立ちたい・・・、誰かのために・・・、そう思い、髪を伸ばして髪の毛を寄付する人の心は美しい。そして、ウイッグを手にした子どもたちも、ウイッグをもらって喜んでいる。でも、誰かの役に立った、それだけで良いのでしょうか?」
と、渡辺様は、さらに質問を投げかけられ、ご自身の体験談をお話しされました。
あるご家庭のお話では、家は通学路に面しており、通学の時間帯になると親が窓のカーテンを閉める・・・。かたや、別のご家庭では、来客があると当事者の子どもを2階にあがるよう親が言う・・・。
これらは、親が子どもを守る意識で、子どもが傷つかないようにと、そのような行動・言動に出たそうです。
しかし、「当事者の子どもはどのように感じるだろうか?考えてほしい。
ウイッグを必要としている子どもたちがなぜウイッグを必要としているか考えてほしい。」
と渡辺様はおっしゃいました。
ある医師の先生は、このケースについて、
「私の脱毛症状は、人に見せたら恥ずかしいものなのか。私は恥ずかしい存在なのか。」
と当事者の子どもは思うでしょうと、おっしゃったそうです。
また、「当事者の子どもがウイッグを使うとどうなりますか?」
と、渡辺様は、更なる問いを投げかけられました。
ウイッグがないと人にジロジロ見られたり・・・いろんな問題が起きる。
ウイッグをつければ人にジロジロ見られない・・・いろんな問題が起きない。
でも、修学旅行お風呂問題、プール問題、マット運動問題・・・新たな問題が起きる。
これらの状況を踏まえて、
「ウイッグを必要としている子どもたちは、ウイッグをつけたくてつけていますか?」
と渡辺様。
そして、「女は髪が命」というフレーズに対して、「女性に髪がなかったら命はないのか?」と疑問を呈されました。
脱毛のことを研究されている先生は、「女にも禿げる権利が欲しい。」「まず、女性は髪が長いという常識をくつがえさないといけない。」とおっしゃったそうです。
最後に、
「ジャーダックがウイッグをより多くのこどもたちに提供しても、良い世の中にならない。
常識や思い込みが和らげなければ、根本の問題解決にはならない。
必ずしもウイッグを必要としない社会にするためにはどうすればよいか?
それは、皆にとって良い世の中とはどのような世の中なのかを考え、自分たちが良い世の中にするために、考えて行動していかなければならない。
ヘアドネーションの活動が本当に良いことなのか、今一度考えてほしい。」
と、渡辺様は訴えかけられました。
みなさんは、渡辺様の問いに対して、いかがお考えでしょうか。
ヘアドネーションの活動のその先にある当事者の方々の問題は、私たち自身が考えて行動していくことで、解決する問題があるということを学んだセミナーとなったのではないでしょうか。
髪に悩みを持つ子どもたちが、必ずしもウイッグを必要としない社会にするために、「当たり前」「常識」とされていることに目を向け、今一度自問自答し、おかしいと思うことは自分で変えていくことを心掛けたいと思います。
(化粧ファッション学科 真殿由加里)
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