有栖川有栖さんの「幻坂」特別授業

2020.02.28 国文学科

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本を読むこと、読書って学びの第一歩ですよね。

文字を通して知らない世界に触れられ、

人生や暮らしを豊かにしてくれる・・・。

 

読書の楽しみを共有できないものだろうか・・・

読書世界を広げようを目標にしているのが、

「情報メディア論」です。

 

この授業の中で、1月20日、

推理作家 有栖川有栖(ありすがわ ありす)さん

をお招きしました。

 

その前にみんなで同じ本を読んでみようと、

有栖川さんの著作「幻坂」(まぼろしさか)の中から

「源聖寺坂」(げんしょうじさか)を選んだのがきっかけです。

 

「幻坂」は、大阪市天王寺区の上町台地にある

7つの坂(真言坂、清水坂、愛染坂、源聖寺坂、口縄坂、天神坂、逢坂)

を舞台にした物語と2つの時代物の9つの物語から成る短編集です。

 

読み終えた後、学生たちからは

「なぜ?この物語が源聖寺坂が舞台なのか」

「伏線として出てくる部分が最後になっても解明されていない」

「犯人にはもっと裏があったのではないか」

等々、鋭い意見が噴出しました。

 

「これは作者に直接聞いてみないとわからない」

とツテを頼って有栖川さんにメールを送り、

授業にお出でいただけないかと依頼。

 

有栖川さんは

「これは僕でないと話せませんね」

とご快諾をいただき、ご登場となった次第です。

 

授業の冒頭、有栖川さんは

「これは怪談なんですよ」

と書かれたいきさつを語り始められました。

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主人公は若い女の子、大学生や子どもなど、

変幻自在な「怪談」で、

展開の面白さもあって物語に引き込まれます。

 

また、学生たちからの鋭い意見にも

「よくそこまで、読んでもらいましたね」

と、すべて解決してしまうよりも物語の余韻、

怪談の妙味を楽しむ読み方を指南されました。

 

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「幻坂」はミステリー雑誌の連載からはじまり、

単行本、文庫本となり、ラジオドラマに広がりました。

2016年には「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」

として「第5回大阪ほんま本大賞」を受賞しています。

 

「天王寺七坂」は、緑が豊かな坂道で、

平安時代から戦国時代の史跡が点在し、文化人の墓石も多く、

歌舞伎や文楽の物語の舞台にもなっています。

 

道頓堀や難波に近いとはいえ、賑やかすぎる大阪の

イメージとはかけ離れた歴史と文化に培われた静かなエリアです。

 

「ぜひ、歩いてみたい」

学生たちから多く寄せられた声です。

 

天王寺七坂は大阪メトロ谷町線の谷町九丁目駅から

四天王寺前夕陽ヶ丘駅の間、

地下鉄一駅分の距離に点在しているので、

大阪を知る街歩きには最適です。

 

ひとりだけで読む本は知識にはなりますが、

頭の片隅に収まるだけ。

それが大勢で同じ本を読み、

意見を交わすことで疑問が生まれ、

他の人の読み方に刺激を受け、

自分の視点が変わります。

 

読んだ本の解説を目の前で著者から聴けるという体験は、

早々できるものではありません。

 

各自の読書世界を広げる一助になったのではないか、

記憶に残る物語になったのではないか、

とささやかな期待を込めて授業を終えました。

(酒多隆子)

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~学生たちの感想~

3年生 Mさん

推理小説と怪談は似ているようで似ていないもので

怪談は怖いという感情よりも、「怪談を読んだなあ」と

感じることが大切だと教えていただきました。

私たちの源聖寺坂に対する疑問に、しっかりとした

答えが返ってくるのかと思っていましたが、

そこは一つの答えに決めるのではなく、

読者によっていろんな可能性があるままで作品は完成とします。

とおっしゃっていてあえて答えを求めない

というのも小説の面白さだと気づきました。

 

4年生 Oさん

幻坂を書く前に書いたミステリー小説の紹介であったり、

幻坂で取り上げられた坂での物語について。

更には源聖寺坂で探偵を登場させた意味等、

様々なお話を直接聞けた事が貴重な体験となりました。

ありがとうございました。

 

3年生 Aさん

私自身、実は、有栖川有栖さんのことは名前ぐらいしか知らず、

作品も好みのジャンルではなかったために、今回の授業課題で

初めて先生の作品を読みました。

第一印象は、穏やかな口調で、創作活動が長い作家さん

なのだと雰囲気からも感じられました。

『幻坂』を書いた時の裏話や私たちが書いた書評への

返答やこだわった部分、悩んだ部分を聞かせていただいて、

作家として活動している方は何を考えて作品に

取り組んでいらっしゃるのかを直接お伺いできて、

大変貴重な体験をさせていただけたと思います。

 

3年生 Tさん

源聖寺坂の感想を結構ばっさり書いたので

まさかの本人登場でびっくりしました。

 

3年生 Iさん

小説家の方に会うのも、話を聞くのも

はじめてだったので、不思議な感覚でした。

小説を書く上で気を付けていることや、

どう書き進めていくのかなど話が本当に

面白くてためになりました。ありがとうございました。

 

3年生 Kさん

幻坂を読んで感想を書きました。

まさか、先生本人に読まれるなんて

思ってもいなかったので驚きました。

どのようにして、幻坂が書かれたのか

知ることができてよかったです。

実際に作中に出てくる場所にいったり、

その地域の歴史を調べることで、

本の内容に肉付けされていくんだと勉強になりました。

 

 

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