こんにちは。国文学科の長谷あゆすです。
ここ数回、2018年度にスタートした1年生の必修科目「読書へのいざない」についてご紹介してきましたが、いよいよ最終回の様子をお伝えしたいと思います。
【 秋期に出会ったおすすめの1冊 】
「読書へのいざない」は1年生秋期の必修科目で、学生たちが4組に分かれ、4人の先生が担当する授業をローテーションで3回ずつ受講します。
その中で学生たちは様々な本と出会い、それについて話し合ったり、発表をしたりしてきました(取り組みの一例はこちら→長谷クラス①/②/③前半/③後半)。
そして迎えた最終回。
受講生全員が大教室に集まり、はじめに取り組んだワークはこちらです!
「“国文百選”を語ろう~おすすめの1冊はコレ~」
樟蔭の図書館には“国文百選(こくぶんひゃくせん)” という特設コーナーがあり、国文学科の先生たちが選んだおすすめ本100タイトルが配架されています。
「 “国文百選”を中心に、興味ある本をどんどん読んでみよう!」
第1回の授業ではこのようなミッションが発表され(詳細はこちら)、学生たちはそれぞれのペースでこの「読書チャレンジ」に取り組んできました。
そうやって新しく出会った本の中から「みんなにおすすめしたい1冊」を選び、グループ内でその魅力を紹介しよう、というのが今回のテーマです。
ということで、まずは本の紹介文を下書きし、その後5~6人のグループに分かれて順番におすすめ本をPRしていきました。さてさて、皆どのような本をピックアップしていたのでしょうか?
【 人気の本は…? 】
授業後に集計したところ、最も多くの学生に選ばれていたのがこちらの本でした。
『星の王子さま』(サン・テクジュペリ作)
砂漠に不時着したパイロットが別の星から来た王子さまと出会いその話を聞くという物語ですが、王子さまの話の中には「人生で大切なものは何か」を考えさせるような象徴的なセリフが数多く登場します。学生たちの紹介文を読んでみると印象に残ったポイントは実にさまざま。人によって、また年代によっていろいろな魅力が発見できる奥深い作品だと思います。
このほか、以下の本も人気でした。
☆ 現代文学 ☆
『告白』(湊かなえ作)
『ナイフ』(重松 清作)
☆ 近代文学 ☆
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治作)
『江戸川乱歩名作選』(江戸川乱歩作)
☆ 古典文学 ☆
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(谷 知子編)訳・解説つき
『とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(鈴木裕子編)訳・解説つき
文学以外のジャンルの本を取り上げる学生もいました。
『言ってはいけない残酷すぎる真実』(橘 玲著)
『正しいパンツのたたみ方』(南野忠晴著)
なども、紹介文を見るとなかなか面白そうでした。
興味を持たれた方は、ぜひamazon等で本の内容を調べてみてください。
【 秋期の読書量を点数化してみる。】
さて、その後は、秋期の読書量をふりかえるワークを行いました。
各自持ち寄った「読書カード」を見直し、
「全て読めた」本は1冊につき3点、「一部読めた」本は1冊につき1点
として、獲得点数を集計用紙に書き入れます。
その結果を教卓サイドで集約したところ……
第1位 52点 (全て読んだ本15冊、一部読んだ本7冊)
第2位 51点 (全て読んだ本15冊、一部読んだ本6冊)
第3位 50点 (全て読んだ本15冊、一部読んだ本5冊)
第4位 38点 (全て読んだ本10冊、一部読んだ本8冊)
第5位 34点 (全て読んだ本9冊、一部読んだ本7冊)
1~3位の学生は、な、な、なんと15冊も読了しているではありませんか(凄すぎる)。
本当によく頑張りましたね。
上位入賞者の皆さんには授業の最後に表彰を行い、国文学科よりお祝いの品(某有名店の焼菓子セット)を贈呈しました。
おめでとうございました!!
【 読書チャレンジの結果 】
ところで、「読書チャレンジ」での読書冊数を平均してみたところ、
秋期の間に、1人あたり11冊の本と新しく出会った(4.5冊を読了、6.8冊の本の一部を読んだ)という結果が出ました。
「え~、平均値でしょ? 『一部の人だけがものすごく沢山読んだ』って話なんじゃないの?」
という疑問も出るかと思いましたので、もう少し詳しく分析してみたいと思います。最終回出席者の数は57名。読了したかどうかに関係なく、秋期に新しく読んだ本の冊数がどれくらいだったのか、分布を見てみました。すると……
なんと57名中55名が新しい本を6冊以上(しかも29人が11冊以上)読めていたことがわかります。
この結果を見る限り、「学年全体で積極的に読書に取り組めた!」といってよいように思います。
【 まとめ 】
さて、学生たちは、15回の授業を終えてどのようなことを感じたのでしょうか。
ふりかえりコメントの一部を本人の了解を得てご紹介します。
「読書へのいざない」では、様々な読書のカタチを知ることができた。自分が本を読んで感じたことや、考えたこと、疑問を誰かと共有し合うことへの面白さを感じられる授業だった。また、少人数グループワークや口頭発表の機会も多く、同じ国文学科の人たちと距離を縮められる一つのきっかけにもなった。(Hさん)
自分の興味がなかったコースにも触れられて楽しかった。言葉についてみんなと話しあったのがとてもおもしろかった。普段自分じゃ読まないようなパロディ作品やエッセイについて読めたし、みんなと小説について話しあう時間がすごく楽しかった。発表も多かったので、自分のためになるものがすごく多くて受けられて良かったなと思いました。(Yさん)
このように授業内で本を読むという機会をいただき、自然と授業に関係のない所で本を読むということが増えた。本屋に行って、何となく直感でこの本おもしろそうと感じた本を読むようになったし、有名な本も題名だけでなく、中身も知りたいと思えるようになった。ただ読むだけではなく、その奥に秘められた筆者の思惑を紐解くおもしろさをこの授業を通して学びました。(Eさん)
なお、この授業の受講生(新2回生)の中には「架空読書会(存在しない架空の本を、いかにも読んできたかのようにして語り合う会)」を企画し、読書評論と創作のコラボを楽しんでいる学生たちもいます。よろしければ以下の記事もぜひご覧ください(タイトル名から記事に飛べます)。
ではでは今回はこのへんで。