「読書へのいざない」長谷クラス①~草双紙「桃太郎昔語」を読む~

2019.04.03 国文学科

国文学科の長谷あゆすです。

今回も、1年生の必修科目「読書へのいざない」の様子をふりかえってお伝えしま……

「こんにちは~」

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君は確か、“国文科ゆるキャラGP”(→詳細はこちら)でグランプリに輝いた……

 

樟次郎(しょうじろう)っていいます。

ぼく、キレイな表紙の本を集めるのが大好きなんです。

けど、姿を消した兄さんが

『Don't judge a book by its cover.(本を表紙で判断するな/見た目より中身だろ)』

って、つぶやいてたのをふと思い出して。

それで、読書にも興味を持ちはじめたんです。

この科目のことを色々教えてほしいな~と思って来ました!

 

そうそう、樟次郎くんでしたよね。お兄さんについても色々気になるわ。

「読書へのいざない」について知りたい? もちろんOKです。

さあ、何でも質問してください。

 

【どんな授業?】

樟次郎:いきなりですが、この科目のスケジュールってどんな感じですか?

長谷:はい、1年生が4つの組に分かれ、4人の先生が担当する授業をローテーションで3回ずつ受けていきます。そこに全体授業が入るので、こんな感じですね(1組の例)。

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全体授業については、これまでの記事もぜひご覧ください(第1回はこちら/第8回はこちら)。

 

樟次郎:(メモメモ…)了解です。えーと普段の授業では、90分間ひたすら本を読むんですか?

長谷:そんなことありませんよ~。もちろん本は読みますが、内容を他の人にわかりやすく説明したり、資料を作って気づいたことを話し合ったり。どの先生の授業にもグループワークがあるので、思考力はもちろん表現力も身につくと思います。

 

樟次郎:なるほど~。あと、「どんな本を読むのかも気になります!

長谷:嶋崎先生クラスでは“樟蔭国文百選”から好きな本を選んで(借りて)持ってくる、というふうにされていました。それをもとに、本を紹介するPOPを作ったり、ビブリオバトルについて学んだり…。また、田原先生は『大阪弁おもしろ草子』(田辺聖子著、講談社)、富田先生は『日本語不思議図鑑』(定延利之著、大修館書店刊という本を取り上げて、それぞれユニークな授業を展開されていました。

 

そして私の授業では毎回違う時代の「桃太郎もの」を読んでいました。

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樟次郎:へ~1回目は古典作品なんですね。

長谷:はい。江戸時代に出版された「桃太郎昔語(ももたろうむかしがたり)(西村重信画)という草双紙を取り上げました。

樟次郎:草双紙って何ですか?

長谷:絵がメインの娯楽本です。言わずもがなですが、授業では原本ではなく図版を収録した本(『江戸の絵本―初期草双紙集成―Ⅳ』小池正胤・叢の会編、国書刊行会刊)をプリントにして使いました。せっかくなので、少し読んでみましょう。

 

【『桃太郎昔語』を読む。】

樟次郎:「桃太郎」といえば、出だしはこうですよね。

むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが――

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どこにもいないじゃないですかー(笑) え、この男子会みたいな場面は何ですか? 

長谷:絵だけだと状況がよくわかりませんよね。セリフ部分を読んでみてください。

樟次郎:ぼく、くずし字読めないんですけど…。

長谷:大丈夫です。プリントの下の方に、現代の字に直して漢字をあてたものがありますから。

 

(陣羽織風の子)「昔々あつたとさ。爺は山へ草刈りに。」

(坊主頭の子)「桃太郎は面白い。」

(笹の葉模様の子)「その後で兎の手柄(※かちかち山の話)を聞きたい。」

(渦巻模様の子)「黙って聞け。」

 

樟次郎:要するに、こういうことですね。

 

A君が「昔々~」と語り始め、

B君が「ああ、それそれ。『桃太郎』って面白いよな~」と喜んだ。すると

C君が「次は『かちかち山』がいいな」と言ったので

D君が「うるさい、黙れ」と注意した。

 

長谷:その通り。じゃ、この絵にナレーションをつけてみてくれますか?

樟次郎:(カキカキ…)はーい、できました。

 

「少年たちが火鉢を囲んで集まっています。

そのうち一人の少年が、桃太郎の昔話を始めました。」

 

長谷:いいですね! 授業ではこの絵を例題にして

残る12枚の絵がどのような場面かを推理し、ナレーションを完成させよ。

というワークをしました。

 

【ワーク① 各場面のナレーションを考える。】

長谷:2枚目。ここからが桃太郎のストーリーです。

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「おじいさんは山へ草刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

すると、不思議な(   )が流れてきました。」

 

長谷:空欄に入る言葉は何でしょう?

樟次郎:うーん、「桃」ですかね~。って、これ簡単すぎるでしょ!

長谷:ですよね。ただ、けっこう難易度が高いものもあるので、学生同士で相談してもらったり、こちらがヒントを出したりしながら作業を進めていきました。

 

【ワーク② 現代版の昔話「桃太郎」と見比べてみる。】

樟次郎:えーと、次はどんなことをするんですか?

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樟次郎:ふむふむ…現代の「桃太郎」絵本の例と見比べながら、「桃太郎昔語」だけに見られる点を書き出していくんですね。

長谷:そうです。勘の良い学生は、ナレーション記入時に「コレ違うな…」って気づいたものがいくつかあったかもしれません。ただ、「目立つもの」から「うっかり見落としてしまいそうなもの」までいろいろあるので、何個発掘できるかはやってみてのお楽しみです。

樟次郎:わー「間違い探し」みたいですね!

 

【ワーク③ グループ内で発見を共有。】

長谷:さて、次は4人グループを作って気づいた点を1人1個ずつ順番に報告していきます。

樟次郎:1年生の皆さんは活発に意見を言う方ですか?

長谷:言う方です…!たとえば、こんな感じです。

 

学生A「…私が気づいたのは、桃太郎が宝目当てで鬼退治に行く】ってところです。現代版だと、「村に恐ろしい鬼たちがやってきて悪事を働き、桃太郎は村の人たちが困っているのを見過ごせなかった」というのが鬼退治の理由になっていました。でも、「桃太郎昔語」だと……

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「桃太郎が曰く『俺は鬼ヶ島へ宝取りに行く。供をいたせ。団子は望みに任せて取らしよ』」

ってありますよね。しかも、前後の場面に鬼の悪事は一切描かれていません。ということは…」

 

学生B「桃太郎の方から、宝を強奪しに行った、と。」

学生C「これはノーマークやったな…」

学生D「ただ、『団子はいくらでもやる』って言ってるし、金の亡者ってわけではないよね」

学生A「スケールの大きい冒険者って感じかな(笑)」

 

樟次郎:みんなで本の世界を探索してる雰囲気がいいですね。

長谷:うまいこと言いますね。こうやって、気づいた点が尽きるまで順番にどんどん報告します。

樟次郎:発見を出し合う中で、自分が注目した点を別の角度からとらえ直せたり、新しい見方に気づけたりっていうのが面白そうです。

 

【まとめ】

樟次郎:いやー、話の筋は同じでも、現代の絵本とは違う特徴が色々あって驚きました。

長谷:そうですね。昔話としての「桃太郎」も時代や物によっていろいろバリエーションがあります。そして、その一方で、「大胆なアレンジ」を売りしたタイプの作品も創られていきました。

現代ではauのCMで三太郎が共演していますが、江戸時代の本の中にもこんなユニークな設定が登場するんですよ。

 

・桃太郎が金太郎と一緒に鬼退治に行く。

・桃太郎のライバル「柿太郎」が現れる。

・桃太郎への報復のために派遣された鬼娘が、桃太郎を愛してしまう。

・桃太郎の子孫が家宝を売り払って遊郭に通う。  などなど…

 

樟次郎:いいな~、こういう遊び心。

長谷:授業では、ワーク後にこうした作品のあらすじを紹介しました。「アレンジ型の『桃太郎』にもそれぞれに個性があったんだな」ということが伝わっていたらいいなと思います。

と、長くなってしまいましたが、長谷クラスの1回目はこんな感じでした。

樟次郎:「読書へのいざない」ってどんなことするんだろう…と思っていたんですが、なんとなく授業の雰囲気がわかった気がします。今日はありがとうございました。

長谷:いえいえー。またいつでもいらして下さい!

 

~長谷クラス① 終~

 

※国文科ゆるキャラの「樟次郎」くんは3月に国文学科を卒業した渡辺実歌子(わたなべみかこ)さんが考えてくれました。渡辺さん、樟次郎くんのブログ出演への快諾、ありがとうございました。

 

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