学生と教員で"架空読書対談"をやってみた。(2冊目)

2018.11.12 国文学科

みなさん、こんにちは。

古典文学ゼミ担当の長谷あゆすです。

 

先日、国文学科1回生の東地結貴さんと私とで

「実在しない架空の本を、いかにも読んできたかのようにしてワイワイ語り合う」

という架空読書会を、対談形式でやってみました。”

(詳細はこちらをご覧ください⇒http://cheer.osaka-shoin.ac.jp/info/2018/11/post-822.php

今回は、その第2弾の様子をお伝えします。

 

【語る本はコレ!】

まずは、「言葉ポーカー」の札を3枚引いて、今回語る本のタイトルを決定します。

出たのがこちら。

present.jpeg

(どんな味だよw)

ということで、今回のお題は『プレゼントのような味』に決定。

 

シュールなお題に脳が一瞬フリーズしましたが、そんなことを言っている場合ではありません。

イマジネーション豊かな東地さんを頼りにとともに、さっそく対談開始です。

 

【ただの料理本じゃなかった】

長谷「この本は厨房の魔術師と呼ばれるカリスマ日本人シェフが出したレシピ集なんですけど、1つひとつの料理にまつわる思い出話が詳しく載っていて、エッセイとしても楽しめますね。」

東地「今までにない形のレシピ本ですよね〜。日本各地に彼がプロデュースしたお店がありますけど、この本に載っている料理は、どれもお店で出したことのない料理なんですよね〜。だからより濃いエピソードで、読み物としてもおもしろい。」

長谷「東地さん、“絶品白がゆ”のエピソード覚えてます?」

東地「フランスから来日した恩師のために、シェフが山奥の秘境まで名水を汲みに行って白がゆを炊く、って話ですよね。」

長谷「それそれ。恩師が持ってきてくれた“カマルグ産の塩”に合うメニューは何か? って考え抜いた末、シンプルな「白がゆ」を選ぶセンスがいいなぁと思いました。それに、名水を汲みに行った山中で予想外のハプニングに見舞われるくだりは、ハラハラしながら夢中で読みました。」

 

【エピソードもレシピも凄い】

東地「このシェフ、中々のトラブルメーカーですよね。秘境に行く途中の山の小川で野生のクマに襲われかけたり、3種のきのこの親子丼のエピソードでは森にきのこをとりに行った際、間違って毒きのこまで持って帰ってきちゃったり。」

長谷「そういうおっちょこちょいなところに親しみが湧きました(笑)。でも、レシピ作りではしっかりカリスマ料理人としてのこだわりを見せてましたね。」

東地「“3種きのこの親子丼”のエピソードでは、出身地名古屋の名物地鶏「名古屋コーチン」のもも肉と卵をふんだんに使った親子丼を作るも何か納得がいかず、大好物のきのこをアクセントとして加えるってところが印象的でした。きのこで秋らしさを演出しつつ、その出汁で旨みをいっそう増幅させるアイデアも、読んでいて面白かったですね。」

長谷家計に優しいレシピが多いのも良かったです。親子丼のきのこ狩りエピソードの後に、『舞茸には肉を柔らかくする効果があるので、コーチンじゃなくても美味しく仕上がります』って一文があったんで、100g68円の特売もも肉で作ってみたんですよ。そうしたら…」

東地「どうなりました?」

長谷「味がしっかり染みてるのに食感は柔らか。まさに技ここに極まれりって感じでした。」

 

【感動のレシピ誕生秘話】

長谷「そういえば、鶏料理だとご馳走チキンカツも良いですね。『市販のサラダチキンを生の鶏むね肉で挟んで揚げる』っていうアイデアが斬新でした。揚げ時間も短くてすむし、2つの味と食感が楽しめますし。目からウロコのレシピでした。」

東地「“ご馳走チキンカツ”は私も作ってみたんですが絶品でしたね〜。カレーライスの上にのせてチキンカツカレーにしました。」

長谷「おおっ、アレンジしても美味しそう。ところで、この料理って、シェフがどら焼きを食べてる時に思いついたんでしたっけ。」

東地「そうそう! 試作期間中、休憩中のおやつで食べたどら焼きの、生地であんこを挟んでいるのを見て「これだ!!」って閃くんですよね。どら焼きっていう甘〜いお菓子からボリューミーなチキンカツのアイデアを得るなんてさすがですよね〜。そのカツを、どら焼きを差し入れてくれた自分の母に『ヒントくれてありがとう』ってふるまうところにはジーンときましたね。」

長谷「シェフにとってもお母様にとっても、このメニューが相手からもらったプレゼントだったっていうのが素敵ですよね。」

 

【「プレゼントのような味」とは?】

長谷「そういえば、この本のあとがきに

『お世話になった人や様々な経験が与えてくれたプレゼントのような味をぜひ届けたい』

って1文があったと思うんですよ。この本の料理が誰かの食卓に並ぶと、そこでまた小さな幸せが生まれる。シェフが《周囲からもらったプレゼント》だと感じていたレシピが、今度は沢山の人たちへのプレゼントになっていくんだなって想像すると、なんだか幸せな気持ちになりますね。」

東地「『プレゼントのような味』というタイトルを見て、はじめはどういうことなんだろうと不思議な感覚だったんですが、料理を作る人から見ても、食べる方から見ても『いいプレゼントだな』と思えるような料理たちが載っているんだなって、読んでいくうちに思いました。作る人の愛情や真心を感じて食べた人が笑顔になる。そういう連鎖をたくさんの人との間でおこしたい。それが、「プレゼントのような味を、ぜひ届けたい」という思いなんじゃないかなって。」

長谷「まさにそれですね。」

東地「読んでいるだけでも胸いっぱい、幸せいっぱいになれるこの本。ぜひこの幸せを、たくさんの人と分かち合いたいですね。」

 

【常識破りの1行レシピ】

長谷「ところで、私は次最後の方に出てきたおひさまホットケーキに挑戦してみようと思ってるんですが、東地さんが次作ってみたいメニューはどれですか?」

東地「私は、おばあちゃんのおむすびをつくろうかなと思ってます。この料理、エピソードは非常に濃いんですけど、作り方の欄は最短1行

食べてくれる人のことを思いながら握りましょう

これって単純だけど、改めて読み返してみると心にジーンとくるものがあって、誰かに作りたくなりました。」

長谷「けっこう長めのレシピが続いた後にまさかの1行。それに、レシピ欄に心の持ちようしか書かないっていうのも、常識を越えた発想ですよね。でも、その1行に込められた思いをエッセイと連動させて読むと、大きなドラマが広がっていく。こういうサプライズがあるから、読んでて飽きないのかもしれません。」

 

【「爆発」で新たな味を創り出す】

東地「この本を読み進めていくと、シェフが外面的なお洒落を追求する人じゃなく、自由な発想で内を追求していく人だっていうのがじわじわとわかってきますよね。」

長谷「自由な発想といえば、やっぱりうまさ爆発コロッケ~explosion~ですかね。たとえば、普通の料理本だと「いかにコロッケを爆発させずに揚げるか」っていうコツを書くと思うんですよ。でも、この本の場合、冷凍コロッケを長めに揚げて爆発させるとこから始まってましたよね。」

東地「ああ~、そうでした!」

長谷「この書き出しを初めて見た時、正直『何だコレ』って思ったんです。でも、その爆発したコロッケが劇的に美味しい新たな料理に生まれ変わるという。この新しい味と出会ってからは『コロッケの爆発=失敗』とは思わなくなりました。物事を色々な視点から捉えられるようにもなりましたね。」

東地「私も、このレシピを見た時『explosion!?』と驚きを隠せませんでした。爆発したり焦げたりすることをアートとして捉える前向きさがよく出てますよね。そういうポジティブ思考や読者に寄り添う姿勢がレシピの独創性や文面から感じられるので、料理がより楽しくなりました。」

長谷「シェフが綴るエッセイに泣き笑いしつつ、料理の奥深さに感動する。そして新しい物の見方に気づくこともできる。レシピ本をこんなふうに楽しむことができるなんて、最初手に取った時は想像もしませんでしたよね。料理が好きな人はもちろん、全く料理をしたことがない人にもぜひ読んでほしい1冊です。」

 

【対談を終えて…】

さて、今回2冊の架空本について対談しましたが、最後にその感想を語り合ってみたいと思います!

 

1冊目『一日分のスマイルと言えば』

2冊目『プレゼントのような味』

 

東地「開始時の情報が本のタイトルだけなので、ジャンルをどうするかを考えるのが、まず大変でした。でも、そこが面白くもありました。」

長谷「振り返ってみると、どちらも相当シュールなお題でしたよね。」

東地「特に、1冊目は『一日分のスマイルと言えば』というふうに、タイトル自体が文の途中で終わっている感じだったので、その後に何が続くのか、あれこれ想像しながらコメントを考えるのが大変でした。」

長谷「あと、相手が言ったことを自分がどう解釈して返すか、というところにも想像力が必要だと思いました。1冊目の場合、東地さんのコメントにあった『(主人公が)自分にとってのスマイルを追求する』というのが具体的には何を意味しているんだろう、ということを色々考えました。」

東地「そういう中で、架空本の新しい一面が次々と見えてくるのが楽しかったですよね。」

長谷「同感です。まるで新しい本の企画案をプロデュースしているようなノリで、途中からは本当に実在する本を語っているみたいな感覚になってきました。」

東地「今回は、タイトルの中に《スマイル》《プレゼント》という言葉が入っていたこともあって、どちらも笑顔や幸せと結びつく内容になっちゃいましたね。」

長谷「そして、不思議なことにどちらも料理にまつわるエピソードがカギになってましたね。」

東地「そういえば、その後言葉ポーカーで適当に札を引いたら『第一次プラスチック革命』ってタイトルが出て、面白かったですね。」

長谷「それだと、また全然雰囲気の違う内容になりそうですよね~。あと、今度は複数集まって語ってみても面白そうです。」

東地「それこそ、まさに架空読書会ですね!こちらもいつか実現したらまたブログでご紹介できたらいいですね。」

 

ということで、またいずれ今回のような読書関連企画が登場するかもしれません。

どうぞお楽しみに~!

 

 

 

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