学生と教員で"架空読書対談"をやってみた。

2018.11.01 国文学科

みなさん、こんにちは!

国文学科1年生の東地結貴(ひがしじ ゆき)です。

 

このブログに登場するのも、なんやかんやで6回目となります(出すぎかなぁ~)。秋学期がスタートしてから、早くも1ヶ月が過ぎました。この秋学期から国文学科の新設科目として《読書へのいざない》がスタートしました。これは、国文学科の先生4人がそれぞれ3回ずつ“読書”に関する授業をして下さる科目なのですが、詳しいことはまた別の機会に、じっくりお話しできればと思います。

 

さて、今回はそんな、“読書”に関する授業のスタートや、夏に私が書いた“書評”が掲載されたことにあやかって、今巷で話題になっている「架空読書会(かくうどくしょかい)」に挑戦しようと思います!

これは、参加者のひとりが架空の本のタイトルを発表し、ほかの参加者も一緒になって、「存在しないはずの本を読んできた」という設定で、あらすじや感想を語り合うというものです。つまりは、「実在しない本について熱く語り合う」イベントなのです。今回は、これを教員と学生の対談形式でやってみようと思います!

 

【参加メンバー】

長谷「今回、お声がかかりました古典文学ゼミ担当教員の長谷です。よろしくお願いします~」

東地「よろしくお願いします~」

 

【本のタイトルは…!?】

まずは、本のタイトルを決めなくてはなりません。

ということで登場したのが、「言葉ポーカー」

この「言葉ポーカー」とは、オープンキャンパスの国文学科企画にも登場しているカードゲームで、色々な語が書かれた札を5枚引き、そのうち3枚を使って「面白い言葉」を創作する、というものです

長谷「ここから適当に札を引けば、面白いタイトルが出てくるんじゃないでしょうか。」

東地「ですね。じゃあ、引きますよー!」

で、こんな札が出ました。

smile.jpeg

というわけで、タイトルは『一日分のスマイルと言えば』に決定。

 

【いよいよ「架空読書対談」スタート!】

東地「この本は、主人公が自分と同年代だったからとても読みやすくて、気がついたらこの物語の世界に引き込まれちゃっていましたね~。」

長谷「確かに。大学生が主人公の小説って最近あまりなかったな~と思いながら読んでいました。」

東地「そうなんですよ。大学に入学して早々に色々とやらかしちゃって、人生のどん底に落ちた大学一年生の男の子が、晴れた日常を取り戻すべく、自分にとってのスマイルを追求していく姿が、読んでいてドキドキしましたね。」

長谷「そうそう。どん底に落ちた主人公が毎日「新しい何か」に挑戦して、寝る前にその日の幸せを反芻していくっていう設定が面白いです。」

東地「毎晩主人公が物思いにふけっているのを見ると、色んな事を考えさせられましたね。」

 

【印象深かったシーン】

長谷「私が特に印象に残ったのは、親友の家に忍び込んで、サプライズで鍋パーティを企画する話です。主人公が寒さに凍えながら、ベランダであんこうを吊るし切りにする場面には、とにかくハラハラしました(笑)」

東地「私、鍋料理が好物でよく一人鍋とかもするので、「彼はいったいどんな食材をセレクトするんだろうなぁ」って、色々想像してたんですけど、あの場面は予想外の展開すぎて、読みごたえ抜群でしたよね(笑)それだけ豪快な食材を用意してきたのに、闇鍋パーティだったからその豪快さがあまり伝わらなかったっていうのも、また主人公らしいですよね~。」

長谷「そこが大分惜しかったですよね~(笑)あんこう鍋は意外でしたし、「吊るし切りってことはどこかで釣って来たのか?」などツッコミどころ満載ですよね。あと、この盛大な鍋パーティを終えて帰宅した主人公が、「あんな美味い鍋、久しぶりに食ったな…」とつぶやくところには、復活の予兆がうまく表現されていると思いました。」

東地「今まではとにかく平和な日常を送ろうと、人生をがむしゃらに生きてきた主人公が、いつしか「幸せ」という言葉に敏感になっていることに気づいてしまうシーンが、特に印象的でしたね。「鍋が美味い」とか、そういう何気ないことでも自分が笑えている(スマイルになっている)ってことに気がついて一人で笑い泣くところで、私ももらい泣きしちゃいました(笑)」

長谷「わかります!あれこれ笑える展開がありつつも、最後にはしっかり泣かされますよね。」

東地「そうなんですよね~。」

 

【気になる結末は…】

東地「あ、最後と言えば、なぜかラストは北海道だったんですよね~。本州の寒さにも凍えてしまうほどなのに、何よりも楽しかった高校時代の修学旅行で出向いた地で、なぜかまた闇鍋しちゃうんですよね。」

長谷ラストの闇鍋、色々あって具が野菜だけっていうのが衝撃的でしたね。」

東地「具材のチョイスも、また主人公らしかったですよね(笑)“北海道”という言葉から連想して、ジャガイモと牛乳を持ってきた親友たちによって、最終クリームシチューになっちゃうっていう展開は、予想をはるかに超えてきて驚きました。」

長谷「はるばる北海道に来たのに海の幸がゼロっていう展開は、いつもの「空回り」パターンを踏襲しているなと思いましたが、そんな鍋に「幸せ」を感じるっていう結末がすごくいい。」

東地「いつもの「空回り」にすら必然性があるのではないかと感じる位、「幸せ」を導くんですよね。」

長谷「友達との絆があればこそ、なんてことない素材に「究極の美味しさ」を感じ取れたんだと思いますし、それが「幸せはありふれたものの中に隠れている」っていうテーマともうまく重なっているように思います。」

 

【この作品の魅力とは?】

東地「幸せとは何か」って聞かれると、つい重く考えてしまうんですけど、この作品を読み終えてからは、「文を読み書きすることが面白い!」とか、「人と話すのが楽しい!」とか、そういうありふれた日常にも、「幸せ」と呼べるものが転がっているんだなって気づかされました。後は自分自身がそれに気が付けるかどうかで、人生90度変わってくるなって。」

長谷「あぁ~、確かに。序盤「死んだ魚のような目をしていた」主人公が、小さな幸せを発見していく中で、読み手側の幸せセンサーも鍛えられていく感じがありましたね。あと、主人公が大げさに一喜一憂する姿が面白くて、自然と自分も笑顔になっていることが多かったです。」

東地「確かにそうでしたね。主人公は喜怒哀楽がすごくはっきりと表に出るタイプなので、そこにまた笑わされたりもしましたね。」

長谷色々な意味で、元気を与えてくれる本だと思いました。」

 

【続編もありうる!?】

東地「そして何よりも強烈だったのは、やっぱりラストの一文ですかね。「数々の小さな幸せを自らの手で掴み取った俺は、ようやく人生最大の幸せを手にする…」ってやつなんですけど、作者にやられたなって思いました。あえて最後どうなったのかを明かさないっていう。ただただ「幸せになったんだよ」ってことだけを全面的に伝えてくる感じが、一層読み手の創造力を高めにきてるなって感じました。

ちなみに長谷先生は、最後彼がどんな幸せを手にしたと思いますか?」

長谷「うーん、何でしょうね~。

「どんな苦境にあっても笑顔でいられる自分になるまで、あと少し!」っていう気持ちの高まりを、「人生最大の幸せを(もうすぐ)手にする…」って一文で表しているのかなと思いました。

中島敦が『西遊記』を題材にして書いた『悟浄歎異(ごじょうたんに)』っていう作品の中に、三蔵法師が「いつどこで窮死してもなお幸福でありうる心」を身につけている、っていうくだりがあるんですよ。主人公にとっては、そういうしなやかな心のありようを身につけることが、最終目標だったんじゃないかなーと。」

東地「ああ~。」

長谷「ただ、この話の場合、主人公が慢心して大失敗するところからスタートしていたので、「人生最大の幸せを手にする…」っていう自信満々の語り口が、新たな試練の始まりを暗示しているような気もします。個人的には、こちらの方向性で続編が出るといいなーと期待しています。

東地さんは、最後の一文どう読みました?」

東地「うーん、そうですね。

今回この作品の中で、主人公は「何気ない日常の中に溢れる小さな幸せ」の存在に気づかされたんだと思うんです。その経験があったからこそ、今まで辛くて投げ出したいと思っていたことの中にも幸せが転がっているんだって言うことにも、主人公はきっと気がついてるんだろうなって。」

長谷「なるほど~。」

東地「だから私も新たな試練の暗示と取れるんじゃないかって思います。次は社会人編で、「自分の本当にやりたいこと」を見つけた主人公は、社会の荒波にもまれながらも、「やりたい」という向上心をバネに、大変とも言える仕事の中でも「幸せ」という名の「やりがい」を追い求めていく生き様が見られるんじゃないかなって妄想しております。」

長谷「いつまでも応援し続けたくなる魅力的な主人公でしたね。」

東地『一日分のスマイルと言えば…』と毎日考える主人公の姿に、読者側も生きる希望を見いだせる――そんな作品でした。生涯の愛読書になりますね。」

 

【「社会人編」への期待】

長谷「社会人編も相当面白くなりそうですね。大学とは違ったステージで、主人公がどんな奮闘を見せてくれるのか楽しみです。愛読者カードに書いて送りましょう、ぜひ。」

東地「いいですね、それ。続編のタイトルは「一生分のスマイルと言えば」なんてどうでしょうかと提案してみたいです!」

 

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