創作表現コース奈良﨑ゼミの3年生と4年生は、6月と7月、2回に分けて、大阪中央区南船場にある文学バー「リズール」に行ってきました。
ここは知る人ぞ知る、芥川賞作家玄月氏プロデュースのバー。
壁の本棚には2万冊の蔵書、さらにしばしば催される文学イベントなど、日本で唯一孤高の文学バーなんです!
入り口には大人の身長と同じくらいの、でかいペンが!
こんなサイズじゃ、十文字ほど書いただけで、今日の仕事は終わり、とか抜かす作家もいそうな……。
実は3年生と行ったときは、私=奈良﨑は場所がわからなくて、10分ほど遅刻したおかげで、
看板やペンには目もくれず、ごめんごめんといいながら、階段を降りていったのですが……
「先生来るの遅かったから、しゃーなしに(看板もペンも)みんなで見てましたよ!」とゼミ生。
で、お店は地下。階段を降りていくと、なんかのオブジェが鎮座。
正直、なんだかよくわからんのだが、まあいいや、ゲージュツってことで。
学生に聞いてもやっぱりわからなかったみたい。
店内の壁には圧巻の蔵書2万冊。
カウンター上にも本が並んでいるのですが、その上にサンマが!
もちろん生きちゃいません(死んでもいません)。
チャックが見えていましたので……
「ペンケース?」「オブジェ?」「眼鏡を下に置くって、どうなん、みたいな」「なんで眼鏡?」
と、学生の感想です。
Nさんは早速本を1冊引っ張り出して、中を開いていました。
バーでこれ開く?
なんだか、胸がキュンてするんだけど。
壇蜜が憂い顔で朗読しそうじゃん!
そしてメニューに見入る学生たち。
頭上には誰かが頭をぶつけていた、和紙のしぶーい照明。
みんなそれぞれ注文して、カンパーイ!
で、私は腹が減っていたので、カレーを注文。
なんでバーでカレーやねん的な微妙な空気を読んでしまいましたが。
いいやんか、関西在住の芥川賞作家吉村萬壱さんもおすすめなんだし。
もちろんバーですから、オリジナルカクテルがメニューを飾っています。
学生たちに人気があったのは、吾輩は猫である、かな?
「味はどうだった?」
「美味しかった。甘くて、飲みやすかった」
「老人と海は?」
「味? 特に……お酒だな。さっぱりしていて美味しかった」
「老人は関係ない」
「作者は知ってるの? ヘミングウェイ」
「あー」(と微妙な反応)
下の写真の淡いピンクは、桜の森の満開の下?
「ここのカクテル、酔うほどアルコール入ってた?」
「桜の~は、そんなにアルコールない」
「ちなみに桜の森の~作者知ってる?」
「えーとー」
「最近知らん人多いよね? 坂口安吾」
「ああ、安吾ね」
「坂口安吾って、どの作品がおもしろいんですか?」
「え?」
すっと作品名が出てこない。ボケてきたわけではなくて、実はあまりおもしろかった記憶がなかったりして。
いや、それはやっぱり記憶が消えていっているのか……。
で、これは、ヨギーミルク。
「ヨギーって何?」
「いちごよーぐると」
「ああヨーグルトのヨギーね」
「美味しかった。いちごみるくっぽい感じ。そのまんまですね」
変わっているのはパンドラの箱(太宰ですね)。
これは、人によって中身が違うのです。
色合いとか味とか、当然違います。
4年生は3人がこれを頼んでいたのですが、注文した人を見て、玄月さんが雰囲気でカクテルを作るのだそうです。
こんなやつとか……
写真にはありませんが、Maさんには何やら真っ白のカクテルとか。
でも、みんな遠慮してるのか、値段が怖いのか、あまり飲みませんでしたよね。
じゃあ、みなさん、一言コメントをどうぞ!
Tさん「値段がちょっと。私らの行くところとは金額がちがうんですよ。普段あまり高いバー行かないんで」
「枝豆が一番安いもんやったやろ? で、500円て……」
「大人はみんなこういうところ入るの?」
「行きつけの人は入るんじゃない」
「一人では行きにくいよ」
Tさん「好きな小説のタイトルを言って、それをイメージしたカクテルを作ってほしい」
「今度行ってそう言ってみたら?」
「ええー、絞め殺されますよ」
Miさん「トイレがやばかった。若干アート」
「縦に長くって、便器が二つ並んでる!? 何のため?」
「両はしが鏡。自分が用を足してるとこを見るんじゃない」
「これ、カーテンは閉めるもん?」
「私は一応閉めた」
Miさん「お酒に果物とか入れてたらもっと綺麗になると思うなー」
Inさん「たくさんの本に囲まれ、ソファーに座ってまったり。桜の森の満開の下は、桜リキュールの色 が、キレイでおいしかったです」
Ikさん「原稿用紙にメニューが書かれていたり、文学作品からとったオリジナルのお酒があったり、なるほど文学バーだ……という感じだった」
Nさん「都会の地下の小さなバーの本棚には、本がずらり。本にちなんだオリジナルのお酒を飲みながら、たくさんの本に囲まれてお気に入りの一冊を見つけてください」
Tさん「誰かと一緒ならまた行きたい。イチゴのシロップや文学作品の名前のお酒が飲みたい」
ところで、みんな、玄月さんって知ってるの?
カウンターの奥の眼鏡の男性が玄月さんです!
2000年度芥川賞受賞作家ですよ!
「なんて作品で受賞したんですか?」
「『陰の棲みか』という作品です」と私。私はちゃんと読みましたよ。
Oさん「うーん、なんか一人で行く勇気がない。行ってみたいけど、お酒の値段が高いので、2500円でお酒やおつまみなどがいただけるイベントに参加してみたい。本を持ち寄るイベントとかトークとか。一人だったら入りづらい。でも、楽しかったのでまた行ってみたい」
「けど、ゼミのメンバー全員で行くとしたら狭いよ」
皆さん、次は社会人になって、しっかり稼げるようになってから、行ってください。
こんな秘密の隠れ家的バーに案内してあげると、社内での株も上がるというもんです!
受験生の皆さんも、早く二十歳になって、一緒に行けるといいですね!