謎の作家と対談

こんにちは。
創作表現コースの奈良崎です。
今日は、謎の無名作家「あせごのまん」さんにお越しいただき、国文学科の未来について語っていただきます。
 
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あせごのまん(以下「」と表記): おい何だよ、無名作家って。失礼だな。
 
奈良崎(以下「奈」と表記): あ、元作家ですかね?
 
あ: 現役だよ。                   
                                               

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奈: じゃ、現役の元作家ってことで。
 
あ: 意味わかんねえんだけど。肩書きってのはさ……
 
 
(この後五分以上色々としゃべっていたが放置しておく)
 
 
奈: ……だって、小説出てないんでしょ、長らく。
 
あ: 放っとけ。
 あのさ、実を言うと肩書きに困るから、最近考えたんだよ。
 「直木賞希望作家 あせごのまん」
 ってんだけど、どう?
 
奈: はあ? 希望作家? 紛らわしくないですか?
 「直木賞受賞作家」と見間違える人いますよ、きっと。
 
あ: それを狙ってるにきまってんだろ。
 
奈: なるほど、一種の詐欺みたいなもんですね。
 
あ: ユーモアじゃんか。わかんないの?
 
奈: わかりました(詐欺だってことが、とは口に出さず)。
 で、国文学科の未来ですが、どうなると思いますか?
 
あ: 暗いな。もう消えてなくなると思うよ。
 
奈: そんな身も蓋もない言い方……。
 もうちょっと希望を持てそうなこと言えませんか?
 
あ: ジョークじゃん。泣きそうな顔するなよ。なくなっちゃオレだって困るし。
 
奈: でしょ? 作家だって困るんですよ、なくなったら。みんなで盛り上げなきゃ。
 早稲田大学の石原千秋さんが先日、
 科学の暴走を止めるのは文学を含めた文化の力だ
 みたいなことをおっしゃっていました。
 そのためにも国文科をなくしてはならないのだ、と。
 
あ: そうだよ。オレの敬愛する浅田次郎がこんなことを言ってる。
 
奈: 『壬生義士伝』を書いた人ですね。
 
あ: そう、その浅田さんが、
 「文学とは、
 人類が言葉を発見して万物の霊長となったその瞬間に始まる、
 偉大な文化である」って。
 なんか凄くね?                                       

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 これほど諸手を挙げて文学を肯定した言葉って、
 オレ最近じゃ思い浮かばないよ。
 浅田さんは続けて、
 自分がこの文学に携われることを誇りに思うって言っててさ、
 思わずシャキッと背筋伸びたね。
 
奈: あ、なんか感動しました。涙出そうなくらい。
 
あ: だろ?
 文学に携わるものは、それを誇りにしなきゃ。
 まず第一に必要なのは、その気概だと思うよ。
 国文学をやるからには、教えるものも学ぶものも、
 「万物の霊長となった人類の偉大な文化」
 を担っているのだという気概を持つ、
 これが大事だね。
 
奈: ふむふむ、わかりました、と言いたいところですけど、
 気持ちだけじゃね……なかなか……。
 
あ: それと同時にさ、文学者には、
 文学は世界だ
 ということを声高に言ってほしいね。
 
奈: 文学は世界……ですか?
 
あ: そう、文学には世界のあらゆるものが詰まってるんだよ。
 例えば医者になりたいと思ってもさ、誰もがなれるわけじゃないじゃん。
 でも、小説の中でなら、誰だってなれる。                               

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 例えば海堂尊のバチスタ・シリーズ。
 これ読んで、オレもうほとんど心臓外科医になっちゃってたもん。
 もう医者になんかならなくてもいいやってくらいに堪能した。
 
奈: 思い入れが強いんですね。
 
(きっとブルース・リーが流行った頃には、
 ヌンチャクを振り回していたにちがいない)
 
あ: 福祉の仕事に興味がありゃ、
 ケースワーカーを主人公にしたした小説はいくつもあるし、
 政治家でも宇宙飛行士でも、なんにでもなれちゃう、
 それが小説なんだよ。
 だから、文学は世界だって言うんだ。それどころか、
 今の世界にないもの、
 例えば宇宙の果てだって小説は見せてくれるし、
 あの世のことだって教えてくれる。過去も未来も全部文学にはあるんだぜ。
 
奈: だから、小説読んでおけば他のことをする必要はないと……。
 
あ: でもやっぱ、人間食わなきゃいけねえからな。
 読んでるだけじゃそのまま餓死しちゃう。
 
奈: 死なないためにはどうすれば?
 
あ: 仕事するしかねえじゃん。
 
(おいおい! 結局それ?)
 
奈: 国文科って、どうも就職が不安だなあってイメージあるじゃないですか?
 
あ: バカだな。
 文学をやってるってことは、世界を手中に収めてるんだよ。
 もうなんだってできるじゃんか。
 一番つぶしが利くってことだな。
 
奈: まあそう言われれば、うちのゼミも法律事務所だったり、ゆうちょ銀行だったり、
 広告代理店だったり、就職先は様々ですね。
 
あ: そんなことよりさ、今時小説読んでるって、格好良くね? 
 なんか脳みそがシワだらけな感じするよ。
 
奈: いや、それ例えが変でしょ。
 知的で仕事ができる女って感じでしょうが?
 
あ: ああ、ちょっと前なら天海祐希みたいな? 今なら吉田羊とか?
 
奈: そうそう、部下の男をビシビシ鍛え上げてるみたいな……。
 
あ: いいな、それ。オレ秘書に雇いてえ。
 
奈: いらんでしょうが、秘書なんか!
 
あ: あ、もう時間だ。秘書いねえから、全部自分で管理しなきゃなんねんだよ。
 ああ、忙しい忙しい……。
 
(と少しも忙しくなさそうに、腰を上げるあせごのまん氏)
 
奈: またいい小説ができたら、読ませて下さいね。
 
(と、一応お決まりの文句で締める)
 
あ: 小説もだけど、オレ最近マンガ書いてんの。
『文豪ストレート』なんちゃらってあるじゃん。
 
(なんか違うような……)
 
 どうももどかしいんで、こんなもん自分で書いてやるって……。
 正統派文学マンガ。読みたいだろ?
 
(少しも、とは言い出せず)
 
奈: なんでもいいけど頑張って下さい。
 
あ: タイトルは『行け行け文豪くん』。 どう?
 
(誰も読みそうにない、とは言えず)
 
奈: はあ……。
 
あ: いや待てよ。ここはいっちょ韻を踏んで……『ゴーゴー文豪くん』でどうだ?
 
(どうだって言われても……)
 
あ: じゃあ楽しみにしておいてよ。出版されたら、学生に買わせてくれ。
 一人三冊くらいでいいからさ。
 
(厚かましいな)
 
 
 
                          

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 じゃね! と軽快に手を挙げて、
あせごのまん氏は研究室を後にしたのであった。
 
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