大学院・人間栄養学専攻 第11回公開講演会が開催されました!

2016.10.19 健康栄養学科

10月15日(土)、円形ホールにおいて、大学院・人間栄養学専攻 11回公開講演会が開催されました。

「高齢期の食べる機能を知る」という演題で、今年から本学大学院 人間科学研究科 人間栄養学専攻 教授にご着任された三輪孝士先生(健康栄養学部 健康栄養学科 栄養マネジメント学研究室 兼任)にご講演いただきました。

ご講演のはじめは、高齢期における様々な障害や栄養問題についてお話いただきました。

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超高齢社会を迎えたわが国において、前期高齢者(65歳~74歳)、後期高齢者(75~84歳)に加えて、85歳以上の超高齢者が今後も増加し、2050年頃には100歳以上の高齢者が8万人を超えると予想されているそうです。これらは日本の健康水準が高いことを象徴するものですが、高齢期になるとやはり様々な障害が起こってきます。

日本人の死因の第1位は、がん(悪性新生物)、2位は心疾患、3位は肺炎です。肺炎の多くは高齢者が罹って亡くなられているものですが、高齢者が肺炎に罹りやすい理由の一つに、誤嚥による誤嚥性肺炎があります。

誤嚥というのは食べたものが間違って気管に入り込んでしまうことで、誤嚥をすると、食べ物についていた細菌や口腔細菌が肺に侵入し、肺炎が引き起こされます。

一方、生活習慣病である脳血管疾患や心血管疾患が原因となって寝たきりなどの要介護状態になると、心身ともに機能が低下し、低栄養状態に陥ってしまいます。「寝たきり」の状態で低栄養状態に陥ると、褥瘡(床ずれ)が起きてしまいます。

 

<高齢期の食べる機能の変化>

食事は、目で楽しむ(視覚)、香りを楽しむ(嗅覚)、食器の音や料理ができる音を楽しむ(聴覚)、口での触感を楽しむ(触覚)、美味しさを楽しむ(味覚)の五感で楽しむため、加齢にともなってこれらの機能が低下すると食事の楽しみがなくなり、食欲不振になります。

高齢期の低栄養状態には食べないことによる脱水や、全身の筋肉量低下による脱水も問題になります。筋肉には水分がたくさん貯められているので、高齢期の筋肉の減少は脱水状態になる原因となるそうです。筋肉の減少は、脱水だけではなく転倒の原因ともなり、これが寝たきりにつながります。

また、筋肉は食物を食べて飲み込むという、いわゆる「摂食・嚥下(えんげ)」という動作にも重要です。

講演会ではX線や内視鏡で撮影された嚥下の様子が紹介されました。 

食べて飲み込むという一連の動作は、以下の五つのステップに分けることができるそうで、どこか1つでも上手く機能しないと物を食べて飲み込むことはできないそうです。

①先行期 : 物を認知して口へ取り込む

②準備期 : 咀嚼と食塊形成(噛んで、食べ物を飲み込める形にまとめる)

③口腔期 : 咽頭への送り込み

④嚥下反射、咽頭期 : 咽頭通過

⑤食道期 : 食道通過

例えば、唾液分泌が少なくなると、口の中で食べ物をうまくまとめられません(ステップ②)。

③のステップでは、喉の奥の舌の筋肉がしっかりぐっと持ち上がることが必要です。

④のステップでは、物を飲み込むときに気管に入らないように喉の奥で蓋をする「喉頭蓋」が大切な役割を果たしているそうです。この喉頭蓋がうまく機能しないと、喉の奥に一旦溜められた食べ物の一部が気管に入り込んで「誤嚥」が起こったり、食物を一度に食道に運べなかったりします。

紹介していただいた映像で、これらの様子をよく知ることができました。

また、飲み込む(嚥下)ためには、「嚥下反射」という神経反射や、摂食・嚥下に必要な三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、舌下神経といった神経の働きも必要になります。高齢期にはいると、様々な要因でこれらの神経機能が低下します。

では、誤嚥を防いで、しっかり食べるためにはどうすればいいのでしょうか?

食べやすさは人それぞれ違うので、食物の硬さや、形状(とろみ、ゼリー状、ペースト状、きざみ方)などを個別に工夫することが大切とのことでした。そして、食べる姿勢ですが、あごを少し下げたほうが誤嚥しにくいそうです。食事に集中できる環境や、ご本人や周りの方に対する教育も大切な改善方法の一つとのことでした。

高齢者にとって体の筋肉とともに、食べ物をしっかり飲み込むための喉の筋肉をしっかり保つことが必要です。ふだんから、タンパク質をしっかり摂って、筋肉量を減少させないことが必要とのことでした。首を動かす運動も効果的です。

摂食・嚥下障害の簡易スクリーニング方法として、30秒間で何回「ごっくん」できるかを調べる方法がありました。30秒間で飲み込み回数が3回未満であれば障害があると判定されます。

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最後に、「食事は健康の源。生活機能の維持・改善、生きる意欲や楽しみに繋がる“口から食べること”を最優先にして、生きる意欲を高め、自立を支援することができる」とのメッセージをいただき、講演が閉じられました。

元気に美味しく食べられることの幸せ・大切さを感じた講演会でした。

今回の講演会では160名近い方にご来場いただきました。受講者の皆様からは「映像もあってとてもわかりやすかった。」「大変良かった。」「介護をするうえで参考になりました。」などのご意見をいただき、とても好評でした。

大学院・人間栄養学専攻では、毎年1回、一般の方々を対象に、最新の研究成果をやさしく解説いただく講演会を開いています。高校生のみなさんも参加できますので、ぜひご参加ください。

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